変わらぬ「国は民をだます」 あらゆるものが劣化した平成 経済ジャーナリスト 荻原博子氏に聞く

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おぎわら・ひろこ 1954年生まれ。大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。生活者の視点から経済の仕組みや金融商品などを解説する第一人者。著書は100冊を超えるが、本書は実用的な本とは別に自身が本当に書きたかった一冊で、構想から執筆まで約3年を要した。(撮影:梅谷秀司)
私たちはなぜこんなに貧しくなったのか
私たちはなぜこんなに貧しくなったのか(荻原博子 著/文芸春秋/1870円/324ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
最初に本になった原稿は、ある満州開拓団の盛衰を記録したルポだった。取材内容があまりに重く、しばらくうつ状態に。脳裏に刻まれたのは「国は民をだまし、捨てる」。それから40年弱、庶民目線の経済ジャーナリストが総括した平成は、民を国がだまし、金融機関がカモにしていた。

報われなかった平成世代 重荷背負わない次世代に希望

──米シティバンクはまさに黒船。

金融業のグローバルスタンダード、「刑務所にぶち込まれさえしなければ何をしてもいい、だまされたほうがマヌケ」を、持ち込んだのがシティ。生き馬の目を抜く国際石油業界でもまれた八城政基さんが在日代表に就いた平成元年から積極的な営業戦略を採りました。

1998年夏、シティの店の前に行列ができた。理由は「外貨預金金利最大2%上乗せキャンペーン」です。気になって他行の金利を調べたら、通常のシティの金利は驚くほど低く、2%上乗せで他行並み。護送船団方式で銀行は何でも横並びと思っていた日本人の常識をシティは逆手に取ったのです。ピーク時の預金残高は4兆円で、ほとんどが、手数料が高く預金保険料も不要な外貨預金だからぬれ手に粟(あわ)。そうしたからくりを書いた本を出して、身構えていたら、シティから破格の謝礼の講演依頼が来ました。怖いでしょ(笑)。

──(笑)次はグローバルスタンダードを学んだ日本の金融機関の番。

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