──熱海の土石流を「流域思考」で読み解くとどうなりますか。
川がなくても流域を定義できるのが国際標準です。米国では稜線(りょうせん)で囲まれたガレ場もwatershed(流域)と表現できる。山頂からふもとまで流域。氾濫を起こすのは川ではなく流域なのです。
熱海は残土5万立方メートルが崩れて土石流になった。これだけの残土を流すのにどれくらいの水が必要かと考えるのが流域思考。残土が積まれた場所の面積は2ヘクタール前後として、400ミリメートルの雨が降り半分は流れたとするとたまる水は4000立方メートル。これであの土石流は生じませんね。よーく地形を見ると、崩壊地点の上が隣の流域と低い分水界でつながっている。ただ、そこの降水量を加えても足りない。ポイントは崩落の起点付近の道路です。そこにさらに東の2つの流域の雨が集まる可能性が高い。大雨時に川のようになると、ヘアピンカーブの部分で水が越流するのは容易に想像できる。真相は国土交通省などの調査を待ちますが、道路を通じ周辺流域の水が集まって崩れたと推測できます。
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