
まの・としき 1961年生まれ。87年名古屋大学医学部卒業。2000年英レスター大学大学院でMBA取得。04年京都大学博士(経済学)。昭和大学医学部公衆衛生学(病院管理学担当)専任講師を経て現職。名古屋大学未来社会創造機構客員教授も兼務。編著書に『はじめての医療経営論』など。(撮影:梅谷秀司)
新型コロナの終息後にアフターコロナの医療を考えるのでは遅い。別の感染症のパンデミックが起こりうるからだ。今回日本の医療の何が問題と認識され、それにどう対応すべきか。経済学博士でもある医師の診立ては?
コロナを好機と捉え、診療報酬制度の見直しを
──まったく新しい課題が出てきたわけではない。
日本の医療は公が民の力をうまく活用し、技術が高くホスピタリティーもある。平時には十分ですが、コロナにより、見過ごされていた課題があぶり出されています。
1つは集約化。民間主体ながら、米国のようには市場原理が働かないため、日本には中小病院が多く、その結果「医療が身近にある」。これは医療保険財政がある程度の非効率を受容できたためです。
その財政が人口減、高齢者増で逼迫し、コロナ前からも病院集約化の必要性が官民から唱えられていたのに、病院は「赤字じゃなければ継続性を重視」となってしまい、集約は進まなかった。しかし、コロナの流行で、気軽に通院を選択していた人が通院や入院による感染というリスクを考えるようになった。もう1つの課題であるIT化が進むと、有名医師によるオンライン診療での「勝者総取り」も起こりえます。
──経営状況から再編が進む可能性があるわけですね。ただ、公立病院のあり方は見直しが必要?
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