
ふじしろ・ひろゆき 1973年生まれ。広島大学文学部卒業、立教大学21世紀社会デザイン研究科修士課程修了。徳島新聞社、NTTレゾナントなどを経て2020年から現職。専攻はソーシャルメディア論。著書に『ネットメディア覇権戦争』『発信力の鍛え方』、編著書に『ソーシャルメディア論・改訂版』など。(撮影:今井康一)
ウサギの穴に飛び込むな──。批判的思考でフェイクニュースを見抜こうとしても、陰謀論に陥ることになる、という米「ニューヨーク・タイムズ・オンライン」の記事タイトルだ。フェイクニュースはもはや自己責任や個人の問題ではなく、ニュースの生態系の問題として解決の道を探るべきだという。編著者に話を聞いた。
こたつ記事で稼ぐミドルメディア 責任放棄するポータルサイト
──事実とうそが入り交じり、境界線が曖昧になっている現状を「誰も責任を持たない荒野のような状況」と表現されています。
ひとごとだと思ってるテレビや新聞、雑誌など既存メディアの人たちの記事が、実はヤバい。自社でパッケージ売りされていた記事が今はバラ売り。知らぬ間に加工・変換され、フェイクニュースの生態系に組み込まれている。この新聞なら安心とか、ここのはだいぶ盛ってるとか、かつての相場感みたいなものが崩れてしまった。
既存メディアは誤りがあれば訂正・謝罪し、批判される。でもインターネットのフェイクニュースは謝らない。勝手にタイトル書き換えて済ませたり。まじめな人ほど、訂正がないなら間違いはない、と判断しかねない。同じ皿に確からしいものと怪しいものが雑然と載っているから、もう安心できない。本当は誠実なニュースまでも遠ざけ、逸脱していき、陰謀論を信じる人になってしまったりする。
──コロナ禍のフェイク拡散には、既存メディアも一枚かんでいた。
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