対話、手紙で掘り下げた 刑務所に親を求めた男の心
──読了して改めて表紙の写真を見ると背筋がゾクッとします。
事件から2年後の6月9日に、小島が使ったのと同じ新幹線の同じ号車で資料的に撮ったものです。コロナ下で乗客が少なく、事件のときに乗客が逃げ去った車内のような写真になりました。
──なぜ、女性の被写体への手法を男である小島に用いたのですか。
写真であれ文章であれ、「人の心を掘り下げる」が興味の源です。女性の場合、実体験から何を感じたかを話す人が多く、結論を急がないので話が行ったり来たりしますが、最後は話のつじつまが合うという達成感がある。そのうえでフィクションを絡めて撮るのが、表現的に合っている。男性は、最初から結論ありきという人が多く、対話にならない。男でも無差別殺傷犯の場合、報じられる「死刑になりたい」など以外の動機を心の奥底に持っているはずで、それが知りたい。被写体の女性たちと話してきた経験上、本人との対話がいちばん真実に近づけると思っているので、ひたすら話を聞いてみたいという願望がありました。
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