ソーシャルゲームのグリーが、ネット広告配信ベンチャーを買収、スマートフォンへの対応を加速
携帯電話向けソーシャルゲームのグリーは18日、スマートフォン向けの広告配信ネットワーク(アドサーバー)を手掛けるアトランティス(本社東京、木村新司社長)を買収、完全子会社化すると発表した。アトランティス株の77.1%を16億0700万円で取得。残る22.9%も段階的に取得する予定で、取得単価が同程度とすると総額約21億円で買収することになる。
アトランティスは2007年3月設立で従業員数はまだ15名に過ぎないスタートアップベンチャーだ。それにもかかわらずグリーが22億円もの資金を投じて買収に乗り出したのは、急速なスマートフォンの普及に対応するためだ。
グリーが狙うのは、アトランティスが運営するスマートフォン向け広告配信システム。グリープラットフォーム上のソーシャルゲーム同士で利用者を相互に送客する。
現在の既存携帯電話の仕組みでは、グリーのソーシャルゲームは必然的にグリーのサイト内で行うことになる。このため、グリーのトップページなどゲームを露出させることによって顧客を集めることが可能だ。実際、これが強力な集客チャネルとなっている。
しかし、スマートフォンではそうはいかない。ゲームはそれぞれが独立したアプリとして提供されることが基本となるため、おのおののゲーム利用者から見ればグリーを利用しているようには見えない。ゲームはグリー以外からも提供される膨大なゲームの中から、選んでもらわなければならなくなる。このままでは約2400万人もの膨大な会員資産というアドバンテージを生かせないのだ。
今回、広告配信ネットワークを手に入れたことで、これをゲームアプリに導入することで、グリー上で提供されるゲームアプリ上に、ほかのゲームの広告を張ることが可能になる。そうすればスマートフォン化で失われる可能性があった送客チャネルを維持できる。