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航空を見習えば鉄道サービスはさらに良くなる エアライン出身の鉄道マンが教える経営の秘訣

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元ブリティッシュ・エアウェイズ旅客運航部長で、現在はえちごトキめき鉄道社長の鳥塚亮氏が鉄道再生の処方箋を語る(写真:尾形文繁)
経営危機に陥っていたいすみ鉄道の公募社長に就任し、訓練費用自己負担による運転士の募集など独自の発想で同社を一躍全国区にした鳥塚亮氏は、現在えちごトキめき鉄道の社長として手腕を発揮する。その発想の原点は航空業界。鳥塚氏は元ブリティッシュ・エアウェイズ旅客運航部長という経歴を持つ。航空と鉄道の両方を知る男が、両業界再生の処方箋を語る。(聞き手 大坂直樹)
※この記事は『週刊東洋経済』2020年10月3日号「旅客サービスという点で航空業界は鉄道を上回る」を再構成したものです。

鉄道には「満席にする」発想がない

――航空業界と鉄道業界の仕事のやり方で最も違う点は。

航空業界にはトータルレベニューの考え方が染み付いていて、1機に何席あって、それをいかに埋め、どれだけ稼ぐかをつねに考えている。例年ならお盆の時期は、飛行機のエコノミークラスはオーバーブック(過剰予約)しており、エコノミーの何人かをビジネスクラスに回して、できるだけ多くの客を乗せる。100万円のファーストシートも空席ならドアを閉めた瞬間に価値がゼロになる。カラで飛ばすくらいなら少しでも代金をいただいて飛ばしたほうがいいという発想が根底にある。

一方、鉄道業界には1本の列車を満席にするという発想はないように思う。新幹線の指定席が満席で自由席に立っている人に、「グリーン車に空席がございますので、ご希望のお客様は○号車にいる車掌に声をおかけください」とアナウンスすればグリーン席が売れるかもしれないのに、そんな車内放送は一度も聞いたことがない。でも航空会社なら出発前のJALのゲートで「クラスJに空きがございます。お一人様1000円で快適な旅はいかがですか」とアナウンスしているのをよく聞く。

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