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保険料支払いと給付を切り離す仕組みが必要 インタビュー/法政大学経済学部教授 酒井 正

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さかい・ただし 1976年生まれ。2000年慶応大学商学部卒業。05年同大大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学。08年博士号取得。国立社会保障・人口問題研究所などを経て現職。(撮影:今井康一)

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「皆保険」とうたわれた日本の社会保険は、非正規雇用者が増える中で対応できない部分が出てきた。そんな中、雇用の格差がセーフティーネットの格差に結び付いているという論点を浮き彫りにしたのが、『日本のセーフティーネット格差』だ。2020年度のサントリー学芸賞や日経・経済図書文化賞を受賞し、経済論壇でも注目の図書となった。その著者、酒井正・法政大学教授に本書のテーマである社会保険の問題点について聞いた。

『日本のセーフティーネット格差 労働市場の変容と社会保険』酒井 正 著/慶応義塾大学出版会/2970円

──雇用保険など社会保険の問題を題材にしようとした経緯を教えてください。

雇用保険は、重要なセーフティーネットだが研究者が意外と少ない。経済学者は雇用保険をあまり研究していないし、労働経済学者は「雇用保険のモラルハザード」の話が多く、社会保険という観点から研究しているわけではない。そのあたりで何か言えたら面白いのではないかと思い研究を始めた。

年金や医療保険の未納問題と、雇用保険の問題とを並行して見ていると、社会保険の適用範囲を広げることは重要だが、それだけでは足りない面もあるとわかる。典型的なのが雇用保険で、非正規雇用者の多くが保険適用されているが、失業したときに受給要件を満たせていないことが多い。医療保険や年金も適用範囲を広げているが、それだけでは救済策としては足りないのではないか、というのが問題意識の出発点だ。『日本のセーフティーネット格差』というタイトルで、非正規雇用と正規雇用で差があることを説明し、格差がなぜ解決できないのかを議論したかった。

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