有料会員登録 東洋経済オンラインとは
キャリア・教育 #「未来を知る」ための読書案内

「経済・経営書」ランキング 経済学者や市場関係者が選んだ全36冊

11分で読める 有料会員限定

[推薦者コメント]

・働き方などが変容し、セーフティーネットからこぼれ落ちる人が増え、高齢者重視の社会保障制度から全世代をカバーする制度の必要性を指摘。雇用と社会保障の両方を見据えた制度の整備が必要で、今後の議論は本書の指摘を前提に進められるだろう(江口匡太)

[推薦者コメント]

・『国富論』の「見えざる手」の原理と「ピン工場」の原理との長年の矛盾を、内生的技術変化を核とする経済成長モデルを提示して、回答を与えるに至った。本書は、経済学者たちの論争の過程を描き、輝かしくも人間くさい、知識経済学誕生のドラマだ(嶋中雄二)

市場関係者が注目する「適応的市場仮説」

金融市場は環境の変化に適応するという「適応的市場仮説」を唱え、その研究成果をまとめた本。同理論は従来の効率的市場仮説に代わるものとして注目されている。

[推薦者コメント]

・効率的市場仮説は市場の振る舞いの多くを説明する一方、そこからこぼれ落ちる現象をどのように説明できるのか、ファイナンス、脳科学、行動科学でどのような研究が進められてきたか、わかりやすい例を用いて読者を引っ張っていく。読んでいて楽しい本(中央大学商学部教授・江口匡太)

石橋湛山の経済思想や経済政策を再評価する

石橋湛山の思想や経済政策を、通説とは異なるアプローチで検証。

[推薦者コメント]

・石橋湛山が大蔵相、首相として行おうとした経済政策と、その背後にある理論・理念(経済政策思想)について、通説とされているものとは異なる立場から評価を行う興味深い試み。湛山の経済政策・経済思想は積極財政と結び付けて論じられることが多いが(石橋財政)、本書では通貨政策や金融政策との関連についても詳述されている(上智大学経済学部准教授・中里透)

国家・企業・通貨の必要性を論じた一冊

『貨幣進化論』『中央銀行が終わる日』の著者の最新作。

[推薦者コメント]

・グローバリズムと格差拡大、MMTなどの課題を、読者に感銘を与えつつ縦横に論じる好著(三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長・嶋中雄二)

・国家、企業、中央銀行が一時的な歴史の産物であり、普遍的な存在ではないことを論じつつ、コロナ禍やデジタル通貨などが、国家、企業、中央銀行なき世界を誕生させる可能性を指摘(野村証券チーフエコノミスト・美和卓)

ノーベル賞受賞者が語る経済学の可能性

ノーベル経済学賞受賞者2人が経済学の可能性を示唆する本。

[推薦者コメント]

・第1章は、「経済学が信頼を取り戻すために」。現実社会を前に、経済学は何ができるのか。謙虚な姿勢を保ちつつ、ランダム化比較試験の結果なども使いながら、今日的論点に斬り込む(みずほ総合研究所欧米調査部長・安井明彦)

・言わずと知れたノーベル賞受賞者。小さいテーマでも、実証科学の方法論に基づいた研究成果の積み重ねこそが大切だとわかる(中央大学商学部教授・江口匡太)

アベノミクスは誰が推し進めたのか

インフレ率2%を目指すための量的緩和や官製ベア、消費税率引き上げなどアベノミクス政策は、誰がどう進めていったのか。取材を通してその真相に迫る。

[推薦者コメント]

・「アベノミクス」がたどった道筋を丹念な取材で浮き彫りにしており、資料的価値あり(みずほ証券金融市場調査部チーフマーケットエコノミスト・上野泰也)

・官邸を中心とした政策決定過程の舞台裏が克明に描き出されている(日本総合研究所チーフエコノミスト・枩村秀樹)

 

8位以下の推薦書籍と推薦コメント

医療保険制度の再構築

西沢和彦著/慶応義塾大学出版会/2970円

公的医療保険の保険者機能に着目した好著。何のために医療保険料を払っているか、いま一度見直しが必要であると痛感(土居丈朗)

消える地銀 生き残る地銀

野崎浩成著/日本経済新聞出版社/1760円

地銀が進むべき道について、3つの方向性が具体的な事例とともに提示されている。地銀の再編に関する展望も興味深い(中里透)

金融リテラシー入門〈基礎編〉〈応用編〉

幸田博人、川北英隆編著 /きんざい/各2200円

必ずしも体系書とはなっていないが、京都大学での講座に依拠した日本でおそらく初の金融リテラシー入門書(美和卓)

経済政策形成の論理と現実

野口旭著/専修大学出版局/3080円

ケインズ主義の本質は、資本主義経済の不安定性を安定化するためには政府の政策介入が必要という思想であると喝破(原田泰)

現代経済学の潮流2020

宇井貴志、加納隆、土居潤子、西山慶彦編/東洋経済新報社/2640円

『季刊理論経済学』の流れをくむもので、理論経済学の現状を知り応用を考えるうえで、実務家にとって役立つシリーズ(鵜飼博史)

サラ金の歴史

小島庸平著/中公新書/1078円

これまで表舞台であまり脚光を浴びることのなかった「サラ金」に光を当て、その歩みを詳述した興味深い一冊(中里透)

政策保有株式の実証分析

円谷昭一著/日本経済新聞出版/5500円

政策保有株式が、企業の利益率向上や成長性には寄与していないことを、実証分析で裏付けた点には大いに価値がある(土居丈朗)

なぜ中間層は没落したのか

ピーター・テミン著 栗林寛幸訳、猪木武徳解説/慶応義塾大学出版会/2970円

なぜトランプ、サンダースが登場したのか、理解するのに格好の書。左右ではなく、上下の二極化(格差)こそ問題(会田弘継)

日本金融の誤解と誤算

伊藤修、植林茂、鵜飼博史、長田健著/勁草書房/3850円

最近の金融の通説を疑い、虚心坦懐に再考。アカデミズムと実務の両面を踏まえ、日本の金融課題を考えるのに役立つ(鵜飼博史)

働き方改革の世界史

濱口桂一郎、海老原嗣生著/ちくま新書/924円

「トレードからジョブへ」という流れは、「社会事情に依存して国ごとに異なった歴史経路をたどる」としている(林雅彦)

 

経済学者・エコノミストが選ぶ経済・経営書の名著

専門家が教える、経済・経営への理解を深めるための良書はこれだ。

新しい労働社会 雇用システムの再構築へ

濱口桂一郎著/岩波新書/880円

「メンバーシップ型」「ジョブ型」の語を初めて世に出した書。今手に取ってもまったく色あせたところがない名著(林雅彦)

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

ジェームズ・ブラッドワース著 濱野大道訳/光文社/1980円

英国の最低賃金労働の現場に潜入した著者が見たギグエコノミーの搾取の実態。未来についても考えさせられる一冊(鈴木貴博)

貨幣論

ジョン・メイナード・ケインズ著

貨幣の役割、自然利子率と市場利子率、金融の不安定性などを考える際、原点に戻り本書をひもとくと、その思考過程に刺激を受ける(鵜飼博史)

経済思想 (モダン・エコノミックス 24)

猪木武徳著/岩波書店

市場や貨幣、労働などテーマごとに、どう思索がなされてきたのか、歴史的に俯瞰できる本。20年後でも推挙に値する(江口匡太)

コトラーのマーケティング・コンセプト

フィリップ・コトラー著 恩蔵直人監訳 大川修二訳/東洋経済新報社/2420円

マーケティング界の重鎮がマーケティング・コンセプトを取り上げ、ビジネスの現場で役立つ発想法を伝授している一冊(高城幸司)

ザ・ワーク・オブ・ネーションズ

ロバート・B・ライシュ著 中谷巌訳/ダイヤモンド社

ライシュは30年前に今日の米国混迷をこの書で見通していた。今でも役立つ(会田弘継)

人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長

吉川洋著/中公新書/836円

日本人にありがちな過度の悲観論を払拭してくれる一冊(嶋中雄二)

ストーリーとしての競争戦略

楠木建著/東洋経済新報社/3080円

「よくできた競争戦略」に関する「よくできた本」。この本を読んだ後は、この本の話を誰かにしたくてたまらなくなる(吉崎達彦)

Theory of Value

ジェラール・ドブリュー著

(推薦者:東京財団政策研究所・早川英男)

戦後経済史

野口悠紀雄著/東洋経済新報社/1760円

終戦直後から最近時点に至る日本経済の歩みが、著者の体験を交えながら臨場感を持って描かれている(中里透)

大暴落1929

ジョン・K・ガルブレイス著 村井章子訳/日経BPクラシックス/2420円

読めば、人間の行動は根本的には変わらないもので、バブルを膨らませ、破裂させるのは人のさがであるとの思いを強くする(増田貴司)

知識創造企業(新装版)

野中郁次郎、竹内弘高著/東洋経済新報社/2860円

日本屈指の経営学の名著。ただ、ジャパン・アズ・ナンバーワンの頃の日本経営のよさを前提としている点には要注意(黒須豊)

超訳 ケインズ『一般理論』

ジョン・メイナード・ケインズ著 山形浩生編・訳・解説/東洋経済新報社/1870円

ケインズの名著ながら、複雑かつ難解といわれる原典を極めて大胆に解きほぐしつつ、適切な解説を付与している(美和卓)

21世紀の資本

トマ・ピケティ著 山形浩生、守岡桜、森本正史訳/みすず書房/6050円

(推薦者:日本福祉大学教授・藤森克彦)

日本の不平等

大竹文雄著/日本経済新聞出版/3520円

(推薦者:ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト・矢嶋康次)

[新版]バブルの物語

ジョン・K・ガルブレイス著 鈴木哲太郎訳/ダイヤモンド社/1650円

(推薦者:JOYnt代表・鈴木雅光)

ファイナンス思考

朝倉祐介著/ダイヤモンド社/1980円

会計的思考(PL脳)から脱し、キャッシュに基づくファイナンス思考への転換が企業価値向上に必要だと解説(大塚良治)

隷属への道

フリードリヒ・A・ハイエク著 西山千明訳/春秋社/2090円

国家と個人の関係に関する古典的な書。古典であるが、現在でも政治や社会問題を考える枠組みを与えてくれる(中岡望)

ロンバード街

ウォルター・バジョット著 久保恵美子訳/日経BPクラシックス/2640円

中央銀行が何をしなければならないか、現在でも古くならない思考に驚く。具体的事例から一般理論に導く力に感銘(原田泰)

 

アンケート回答(推薦)者一覧

会田弘継(関西大学客員教授)/足立正道(UBS証券チーフエコノミスト)/井出慎吾(ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジスト)/印南敦史(作家・書評家)/上野泰也(みずほ証券金融市場調査部チーフマーケットエコノミスト)/鵜飼博史(JPモルガン証券経済調査部長)/内田衛(カリスマ投資家)/江口匡太(中央大学商学部教授)/太田省一(社会学者・文筆家)/大塚良治(江戸川大学准教授)/上昌広(NPO法人医療ガバナンス研究所理事長・医師)/河合利樹(東京エレクトロン社長・CEO)/黒須豊(スクウェイブ代表)/佐滝剛弘(城西国際大学観光学部教授)/佐藤健太郎(サイエンスライター)/嶋中雄二(三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長)/清水久三子(人材育成コンサルタント)/鈴木貴博(経営戦略コンサルタント)/鈴木雅光(JOYnt代表)/高城幸司(セレブレイン社長)/土居丈朗(慶応義塾大学経済学部教授)/中岡望(ジャーナリスト)/中川寛子(住まいとまちの解説者)/中里透(上智大学経済学部准教授)/中沢孝夫(福井県立大学名誉教授)/中村仁(跡見学園女子大学観光コミュニティ学部准教授)/新村直弘(マーケット・リスク・アドバイザリー代表)/櫨浩一(学習院大学特別客員教授)/早川英男(東京財団政策研究所)/林雅彦(キャリアアドバイザー)/原田泰(名古屋商科大学ビジネススクール教授)/東原敏昭(日立製作所執行役社長兼CEO)/樋口龍(GA technologies 社長 CEO)/藤森克彦(日本福祉大学教授)/前沢裕文(博報堂生活総合研究所上席研究員・コピーライター)/増田貴司(東レ経営研究所取締役エグゼクティブエコノミスト)/枩村秀樹(日本総合研究所チーフエコノミスト)/三矢正浩(博報堂生活総合研究所上席研究員)/美和卓(野村証券チーフエコノミスト)/矢嶋康次(ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト)/安井明彦(みずほ総合研究所欧米調査部長)/山川哲史(バークレイズ証券チーフエコノミスト)/吉崎達彦(双日総合研究所チーフエコノミスト)/渡邊啓貴(帝京大学教授) 【五十音順、敬称略】

〈アンケートの概要〉有識者(学者、市場関係者、経営者、東洋経済オンライン執筆者)と書店員に以下の分野で推薦書籍を挙げてもらった。未来予測本(2020年1月から21年3月に刊行された本の中から3冊、刊行時期を問わず名著を1冊)、教養書(刊行時期を問わず3冊)、経済・経営書(2020年1月から21年3月に刊行された本の中から3冊、刊行時期を問わず名著を1冊。学者、エコノミストらのみが回答対象)、ビジネス書(2020年1月から21年3月に刊行された本の中から3冊、刊行時期を問わず名著を1冊。経営者、オンライン筆者らが回答対象)。なお書店員は未来予測本、教養書、ビジネス書を1冊ずつ回答。アンケートは21年3月に実施、有識者44人、書店員61人が回答

〈ランキングについて〉未来予測本(名著を除く)とビジネス書は有識者と書店員の推薦数の合計、それ以外は有識者のみの推薦数で集計

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

キャリア・教育

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数