知識イノベーションが長期的な成長をもたらすという内生的成長理論を提唱し、2018年にはノーベル経済学賞を受賞したポール・ローマー。『ポール・ローマーと経済成長の謎』は、経済学の歴史を振り返りつつ、ローマーが理論を生み出した経緯を記した一冊で、原著(ハードカバー)は06年に出版。日本では翻訳版が20年に刊行されている。著者のデヴィッド・ウォルシュ氏に本書刊行の経緯を聞いた。
──執筆のきっかけは何ですか。
ローマーとの出会いは、サプライサイド経済学が全盛だった頃だ。その頃、成長理論はほとんど関心を集めていなかった。(資本や労働の投入だけでは説明できない成長部分である)ソロー残差をめぐる議論も終わったかのように見えていた。
そんな中、米シカゴ大学でロバート・ルーカスがアルフレッド・マーシャルの成長理論に関する講義を行っていた。彼の突然の方向転換が気になり会いに行ったが、その際、彼は私にローマーを紹介してくれた。1988年のことだ。ローマーは、86年に発表していた完全競争の仮説のモデルから、90年に発表する独占競争の仮説へと移行していたのだ。これは明らかなニュースだった。
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