先日のグーグルを皮切りに、米司法省は反トラスト法(独占禁止法)違反で巨大テック企業を次々に提訴する可能性がある。テック企業への規制は、米政界で党派を超えた支持が得られている珍しい政策課題だ。
グーグルに対する訴訟は「検索および検索広告市場における反競争的、排他的行為」に焦点が絞られている。しかし、巨大テックが経済成長と消費者の利益に最も有害な影響を与えているのは「反競争的、排他的行為」ではない。これらの企業が全般的なテクノロジーの方向性を決定づけていることのほうが、問題としては深刻だ。
営利企業が投資先テクノロジーを判断するときに重視するのは、言うまでもなく市場規模である。とはいえ、技術のトレンドは市場規模以上に、特定の会社のビジネスモデルや技術開発方針などに左右されている可能性がある。
1990年代に基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」でパソコン市場を独占したマイクロソフトがいい例だ。当時のマイクロソフトにとっては別のOS、あるいはウィンドウズと補完関係が築けない製品をあえて開発する必要性はまったくなかった。今日の巨大テックもこれと同様、既存の収益源とかち合う製品の開発に自ら進んで乗り出すとは思えない。石油会社が化石燃料と競合する再生可能エネルギーの開発をなかなか進めようとしなかったのと同じ理屈だ。
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