陸運業界2位の誕生ならず 当てが外れた日立物流

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SGホールディングスと思惑は一致せず、資本業務提携を見直す。

2016年の提携会見。日立物流の中谷康夫社長(右から2人目)は次の一手をどう打つか(撮影:梅谷秀司)

これで日本通運に次ぐ陸運業界2位企業の誕生は遠のいた。

9月24日、宅配大手の佐川急便の親会社であるSGホールディングス(HD)と、3PL(サードパーティーロジスティクス。物流の一括受託)大手の日立物流が、資本業務提携の見直しを発表した。日立物流が保有する佐川急便の株式20%はSGHDにすべて譲渡される。SGHDが持つ日立物流の株式29%は、約14%分を日立物流が自己株買いで取得した。

2016年に両社が資本業務提携を発表したとき、将来の経営統合も視野に入れていたが、今回は「経営統合に向けた協議については、当面の間、検討を見送る」と一気にトーンダウン。両社はそれぞれの成長戦略を推進する方向へ舵を切った。コロナ禍による事業環境の変化をその理由に挙げている。

海外拡大めぐり不満

当初、両社は提携によって、「デリバリーとロジスティクス(3PL)の融合」を進めるとしていた。日立物流にとって、全国配送網を持ち、国内宅配便市場のシェア約3割を占めるSGHDは、EC(ネット通販)向け物流などBtoC領域を拡大するうえで重要だった。一方、SGHDにとって売り上げの1割に満たない3PLの強化は長年の課題。相互補完によるシナジーが期待されていた。

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