首相退任後も安倍氏は、党内無比の外交経験を武器に隠然たる影響力を保持する公算大。
8月28日、安倍晋三首相(当時)は、持病の潰瘍性大腸炎の再発を理由に突如、辞任表明の記者会見を開いた。それから徐々にポスト安倍政権の姿が見え始めていった。菅義偉官房長官(同)支持を、自民党の中軸である二階俊博幹事長が訴え、雪崩を打つように、主要派閥が菅支持へと動いた。
安倍内閣で各省幹部の人事を握り、政策調整を強力に進めた菅氏は、今後は首相として、その政策調整を全政府に拡張する。剛直かつ深く、ボトムアップの堅実な政策形成が基本となるはずである。しかも、施策の基本線は「安倍政権の継承」である。
ただし、その出発点は、辞任会見後に内閣支持率が30%台から50%台へと跳ね上がったところにある。安倍首相抜きの自公政権への支持率ともいえるが、何といっても、安倍氏の辞任会見への好感であろう。第1次政権のような「投げ出し」という批判を周到にかわし、反対にネットでは「まずは病気回復を」「お疲れさま」といった感想があふれている。
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