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『サイバーハラスメント 現実へと溢れ出すヘイトクライム』 『「仕事映画」に学ぶキャリアデザイン』ほか

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ネットの悪意が現実を破壊、刑法などの適用が課題に
評者/関西大学客員教授 会田弘継

『サイバーハラスメント 現実へと溢れ出すヘイトクライム』ダニエル・キーツ・シトロン 著/明戸隆浩、唐澤貴洋、原田學植 監訳/大川紀男 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile] Danielle Keats Citron 米ボストン大学法学部教授。情報プライバシー、表現の自由、公民権法について教えるだけでなく、社会的な活動も活発に行っている。本書は『コスモポリタン』誌の2014年「20 Best Moments for Women」の1つに選ばれている。

女子プロレスラーの木村花さんの自殺は、SNSでの誹謗中傷が原因とみられている。また、俳優の三浦春馬さんの自殺の一因にもSNSが挙がっている。外出自粛でネット漬けの人が多いせいか、事件は普段にないほどの衝撃を与えたかもしれない。

本書は、木村さんらを死に追いやったようなケースも含め、「サイバーハラスメント」と呼ばれるネット上での嫌がらせについて米国での具体的事例を数多く紹介し、法的対策や将来への提言を包括的にまとめている。雇用関連で経済界にも関わる事例もあり、本誌読者にも参考になろう。

木村さんらの事件ではツイッターが舞台となったが、本書に出てくる事例で問題となっているのは、掲示板サイトなどが主だ。特に、別れた恋人の性的な写真や動画をばらまく、いわゆるリベンジポルノは、被害者のプライバシーだけでなく、生活や生命そのものまで脅かす。

雇用先にまで写真が送りつけられ職を奪われるケースもある。さらに性犯罪の標的にされ、襲撃予告のメールが殺到し、犯行に至らずとも常に身の危険を感じる(サイバーストーキングと呼ばれる)。リベンジポルノ専門の掲示板は広告で潤う一方、データの削除要請には有料でしか応じないし、拡散後の削除では効果がない。しかも、警察はまともに取り合わず、被害者は八方ふさがりとなる。

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