競争を促し、雇用を守る デジタル・ニューディール提唱
評者/スクウェイブ代表 黒須 豊
本書は、フィナンシャル・タイムズのコラムニストによる個別業種批評の第2弾である。金融市場が対象の前作に続く本作は、IT市場のビッグテックと呼ばれる巨大企業群が、設立当初の素晴らしい理念を放棄してユーザーをだましている現状を鋭くかつ批判的に描出する。
ビッグテックの技術は税金を投じて開発されたものでありながら、彼らは利益を納税者に還元していない。さらに、彼らは高い時価総額を誇る一方で、史上最も雇用機会を喪失させたと手厳しい。
また、彼らのサービスや製品は、スタンフォード大学で開発された「カプトロジー」と呼ばれる説得技術を駆使してユーザーのモバイルゲームやアプリに対する依存度を高めているのだという。
その結果、われわれは常にスマホが気になり、1日平均2600回以上もチェック(タップ、スワイプ、クリック)しているという。この状態が続けば、多くのユーザーの精神的健康に悪影響を及ぼすことになると警告する。実際、著者が本書を著した動機は、自身の子供がゲーム中毒になりかけたことにある。
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