データとAI(人工知能)との掛け合わせが価値を生む社会の到来を前に、日本再生のための提言で話題を呼んでいる『シン・ニホン』(NewsPicksパブリッシング)。慶応大学教授で、ヤフーのCSO(最高戦略責任者)を務める著者の安宅和人氏は、教育モデルの抜本的な刷新こそが変革のカギを握ると指摘する。これからの大学教育は、いったいどうあるべきなのか。
──現在の大学教育の問題点は、どこにありますか。
本能のままに生きる状態から人間にするのが初等教育、人間を社会性のある大人にするのが中等教育だとしたら、大学が担う高等教育の目的は、自律的に考え、物を生み出せる人間をつくることだろう。本来は、人を自由にするための学問として「リベラルアーツ教育」があるはずだが、日本では誤解され、違う方向に行っている。
その結果、これまでの日本の高等教育から生み出されたのは「与えられた役割をこなすマシン」のような人材だった。本来の教育目的とはまるで違う。それでも過去100年は、結果的にこの教育が機能した。日々の改良が重要な大量生産型の社会では、部品としての役割を全うするマシン型の人材が、重要な役割を果たすことができたからだ。
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