米ハーバード大学のベンジャミン・フリードマン教授は、南北戦争から2000年代初頭までの米国社会を調べ、経済低迷が長引くと、精神的なゆとりを失い、寛容性や公平性が低下することを示した。ただ、唯一の例外があった。1930年代の大恐慌期だ。
その頃、経済悪化は激しく、格差拡大で社会が不安定化し、暴力的に全体主義や共産主義へ流されかねなかった。だが大恐慌では共同体意識が高まり、ニューディール政策による所得再分配や、立場の弱い人も社会の構成員として取り込む社会的包摂の動きが進んだ。
今回のパンデミック(世界的流行)でも同じことが起きるとみている。ウイルスは全所得階層に影響を与える。低所得層が健康的・衛生的な生活を送れないと、感染拡大は終息しない。格差も深刻化しており暴動のリスクもある。人々は再び社会的包摂に目覚め、現金給付を繰り返したり社会保障を強化したりする可能性がある。
一方、国外に向けては遠心力が働く。中国の経済・軍事覇権を抑えるべく米国は18年ごろから対中冷戦を始めた。40年代のソ連封じ込めを意識する保守強硬派もいたが、米国経済の中国依存度の高さから、対立は抑制された。
しかし今、米国は多大なコストを払って、国境を越えた人の移動を止めている。新型コロナが終息しても、中国との往来を止め続けることは可能だと説く強硬派は出てくる。政治的コストも小さく、中国封じ込め圧力は強まるだろう。
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