貯蔵スペースが枯渇し、再暴落の可能性も。産油国は経済危機に直面。
4月20日に史上初のマイナス価格(1バレル当たりマイナス37.63ドル)をつけたニューヨーク原油先物価格(WTI)は、OPEC(石油輸出国機構)およびロシアなどOPEC非加盟産油国(合わせてOPECプラスと総称)による協調減産の開始を背景に、5月に入って20ドル台に値を戻している。
とはいえ、新型コロナウイルス感染拡大による原油需要落ち込みの影響は大きく、巨大な需給ギャップを抱えたまま、原油在庫が積み上がる状況が続いている。
5月1日に始まったOPECプラスの協調減産では、6月30日までの2カ月にわたり、日量970万バレルの原油生産量を削減する。「OPECプラス各国の減産率は一律23%(メキシコは6%)」(石油エコノミスト)とされており、過去にない規模だ。さらに、米国などOPECプラスに含まれない国での減少分も上乗せされる。
しかし、世界規模での都市封鎖、生産活動停止によって失われた需要が5月以降にどこまで回復していくかは未知数だ。日本エネルギー経済研究所の小山堅・首席研究員は足元の原油の需給ギャップについて、「産油国による減産実施後でも、(2019年の平均生産量の約10%に相当する)日量1000万バレル前後も存在するとみられる」と指摘。そのうえで「協調減産の実際の規模、都市封鎖の解除や緩和による需要の回復幅とも、不透明な部分が多く、需給ギャップの実態は見えにくい」という。
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