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ロシアと北朝鮮から見た新型コロナウイルス 日ロ協力の深化、日朝交渉への影響も

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筆者がモスクワの日本大使館に勤務している頃、クレムリン(大統領府)や政府の高官、国会議員がよく通う「モスクワ健康センター」という病院があった。ブレジネフがソ連共産党書記長を務めていた1970年代、ソ連の指導者は高齢化していた。そこで当時のレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)に長寿研究所が造られ、要人の健康管理に従事していた。

モスクワ健康センターは、長寿研究所の出先機関だった。ここでは、西洋医学のほかに漢方、鍼灸(しんきゅう)、気功なども用いていた。ここには会員制のスポーツジムとレストランがあり、政治エリートとの人脈を深めるのに格好の場だった。筆者はエリツィン大統領側近の紹介で、このセンターに出入りするようになった。

センターの所長と副所長はいずれも陸軍軍医大佐だった。モスクワでインフルエンザが流行したときのことだ。筆者が「今年の新型インフルエンザで、大使館員が何人も休んでいる」という話をすると、所長が「佐藤、インフルエンザは毎年新型だ。われわれはインフルエンザが流行すると、まずそれが自然の突然変異によるものか、人為的なものかを判断する習性がついている」と言った。筆者が、「人為的に新型インフルエンザを作ることができるのか」と尋ねると、副所長が笑いながら「生物兵器としてインフルエンザは有望だ。味方の将兵にワクチンを注射してからウイルスを散布すれば、兵器になる。われわれはつねに物事を悪意に基づいて見る習慣がついている」と言った。この軍医たちは、おそらくGRU(ロシア軍参謀本部諜報総局)に勤務し、生物・化学兵器に関する知識も持っていると、そのとき感じた。

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