高齢者施設不足で介護難民が発生する──。その通説の正否を検証した。
団塊世代のすべてが75歳以上の後期高齢者となる2025年、膨らむ介護ニーズに供給が追いつかず、「介護難民」が発生するのではと予測されている。増田寛也元総務相が率いる日本創成会議が15年、「東京圏介護破綻」を警告し、回避策として地方移住を促してから、そうした懸念はたびたび指摘されてきた。
下のマップは本誌が医療情報会社であるウェルネスの協力を得て、25年の75歳以上人口1000人当たりの介護施設の定員を色分けしたものだ(介護施設の定員は19年の数値)。これによると、大阪府や愛知県の一部で介護施設の供給率が低くなる可能性があるとわかる。では実際、25年に介護難民は発生するのか。
人手不足で受け入れ制限
かつて全国約30万人の待機者が列を成していた特別養護老人ホーム(特養)では今、実は定員割れが生じている。埼玉県内で今春オープンした特養でも、20人分のベッドがいまだ空床のままだ。その背景の1つが、人手不足である。「順調にいけば今頃はフル稼働しているはずだったが、介護職員の採用が思うように進まない。職員の退職で、ベッドの空きはあっても受け入れを制限している状況」と特養の施設長は話す。
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