多くの介護事業者が人手不足に苦悶している。
政府は10月から介護保険サービスの報酬を引き上げ、経験を積んだ介護職員を中心に給与をアップさせる処遇改善策をスタートさせた。人手不足が深刻化する中、できるだけ介護職員に長く働いてもらおうという狙いだ。これを機に大手介護事業者も、自前の対策を次々に打ち出している。
業界最大手のSOMPOケアは、年間10億円を拠出して介護職リーダーの給与を最大で年80万円引き上げるなど、「地域トップクラス」の水準を目指すという。有料老人ホーム大手のベネッセスタイルケアでは、勤続10年以上で一定のキャリアがある介護職員の8割以上を、年収500万円以上とする方針を明らかにした。
ここまでするのは介護職員の獲得競争が激化しているからだ。介護労働安定センターの調査では、人手不足を実感している介護事業者は年々増加。直近では7割近くに上る。そうした中、大手事業者と中小・零細事業者とでは経営面でも差が開きつつある。
「大手は有利な条件を出せるので人材確保でも優位に立てるが、中小零細の事業者にはそんな余裕はない」。そうこぼすのは大阪府内の有料老人ホーム経営者。介護業界では大手は一部にすぎず、求人に苦戦する中小・零細事業者にとっての頼みの綱は今、高コストの紹介・派遣会社になっている。
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