人事経済学で解明する企業内の男女間格差 幅広い職務経験は賃金・昇進確率の高さに関係

✎ 1〜 ✎ 34 ✎ 35 ✎ 36 ✎ 最新
拡大
縮小

人事制度は企業の競争力や生産性に深く関わり、従業員のキャリアにも大きな影響を与える重要なものだ。しかし実際の人事制度の運用は企業風土や現場の長年の慣習、その企業が属する社会の雇用慣行や経済状況に左右されることも多く、仕組みも複雑である。そうした人事制度や雇用慣行を解明する新しい経済学の分野が、「人事経済学」(Personnel Economics)だ。

伝統的な経済学では、企業は労働や資本などの生産要素を投入すれば商品を産出する、機械のようなものと捉えられていた。そのため内部で従業員や経営者がどのように意思決定を行うかという点には、あまり焦点が当てられてこなかった。

しかし、1970年代以降、米スタンフォード大学のエドワード・ラジアー教授らを中心に、ゲーム理論や人的資本理論などを用いて企業内部の人事施策に関連する問題を分析し、企業や従業員の意思決定のメカニズムを解明する研究が始められた。こうした一連の研究が蓄積され、現在では人事経済学は労働経済学の一分野として確立されている。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内