今年10月に予定される消費増税および軽減税率制度の導入を見据えて、現在日本では消費税についての議論が盛んだ。視野を世界に広げてみると、消費税は「付加価値税(VAT)」という形でOECD加盟国34カ国中、米国を除くすべての国で導入されており、先進諸国における重要な財源となっている。
消費税・付加価値税は、家計の消費行動への影響という観点から論じられることも多いが、企業の租税回避行動をほかの税よりも効果的に減少させることが知られている。この特性は先進国・途上国を問わず、政府が効率的に税を徴収するうえで、非常に重要だ。
例えば米国の税収額はGDPのうちの27%ほどだが、自営業・農業収入の60%以上が過少申告されているとする計算があり、租税回避の抑止が課題となっている。また、マリやマレーシアなどの低・中所得国では、そもそもGDPの10〜20%程度の税収しか得られていない。インフォーマルセクターが大きなシェアを占める経済や汚職の横行などにより政府の徴税能力が低い環境でも、適切に機能する租税制度が求められている。
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