なぜマタハラ被害は正社員に多いのか? 深刻な被害に遭う可能性は非正社員のほうが高い

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日本の職場における3大ハラスメントである、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)、マタニティーハラスメント(マタハラ)。

これらは、言葉の力によって顕在化した問題である。ハラスメントに相当する不条理な行為は昔からあったが、言葉が生まれるまで、一般的に不当な扱いとは見なされなかった。被害者の多くはハラスメントを受けている自覚が薄く、自覚があっても泣き寝入りする人がほとんどだったのだ。

ところが言葉が生まれ被害者が声を上げるようになると、マスメディアやSNSで取り上げられる機会は増え経営者、労働組合、政府が対策に乗り出すようになった。

3つのハラスメントのうち最初に生まれた言葉は、セクハラである。1970年代に米国で作られ、80年代後半になって日本で広まった。新語・流行語大賞も受賞している。一方、パワハラとマタハラは2000年代に日本で生まれた、いわゆる和製英語だ。

マタハラは、社会学者の杉浦浩美氏が09年に出版した研究書のタイトルで使っている。10年代に入ると連合非正規労働センターが行った意識調査で、在職中に妊娠を経験した女性労働者の25.6%がマタハラ被害者であることが明らかになり、マスメディアが大きく取り上げた。その後も杉浦氏の流行語大賞受賞や、マタハラ被害者でNPO法人を立ち上げた小酒部さやか氏の米国務省「国際勇気ある女性賞」受賞などで、認知度が高まっている。

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