さまざまな種目で順位を競うオリンピックでは、記録の更新も見どころの1つである。過去の記録をわずかでも塗り替えれば世界記録保持者としてたたえられ、記録更新の幅が大きければ、その栄誉は長く続く。記録が次々に塗り替えられる大会は大いに盛り上がり、競技者のほか、観客、運営組織にとってもプラスだ。
イノベーション競争にも似たところがある。同種の製品を作っている場合、少しでも良質なものを生み出した企業が市場で勝ち残り、2番手以降はやがて消えていく。イノベーションが続けば経済は全体として盛り上がり成長する。盛り上がりの度合いはイノベーションの頻度と品質向上の幅次第だ。
イノベーションの実現には研究開発への資源の投入が必要だ。社会全体の資源は限られているから、どの研究開発にどれほど資源が割かれるかは経済成長の行く末を左右する。しかし社会的に好ましい配分は、自由市場に任せても実現しない。研究開発投資から得られる企業の私的利益と、社会的な利益は必ずしも一致しないからだ。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら