物価動向は、経済の影響を受けると同時に、経済に影響を与える。例えば、日本銀行は現在、消費者物価指数でみたインフレ率の目標値をプラス2%に設定して金融政策を実施している。また、会社の基本給や年金の給付額も、物価の動向に依存している。
わが国は1990年ごろのバブル崩壊以降、長らくデフレ状態にあるといわれてきた。近年、大規模な量的緩和政策が採られてきたが、インフレ率はプラス2%の目標を依然下回っている。
しかし、インフレ率がマイナスであるとか、プラス2%に満たないということに、どれほどの意味があるのだろうか。本稿では、そうしたインフレ率を「どのように計測するのか」という点について考察する。
とくに焦点を合わせるのは、商品が日々入れ替わっていく中で、価格をどう比較するのかという点だ。筆者は東京大学の渡辺努教授、キヤノングローバル戦略研究所の渡辺広太研究員との共同研究を行った。
研究に用いたのは日経POSデータだ。これは日本のスーパーで売られている個々の商品(例えば、□□製カップ麺・シーフード味、 △△製減塩しょうゆ1リットル、○○製リッチモイスチャー・シャンプー500グラムなど)について、販売数量、販売金額を日々記録したものである。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら