冷戦を経験していないからこそ、ミレニアル世代には社会主義が新鮮に映る。

バースカー・サンカーラ氏は1989年生まれの30歳。米ジョージ・ワシントン大学で歴史学を学ぶ。2010年に『ジャコビン』を創刊。英ガーディアン紙のコラムニストを務める。17歳で米国最大の社会主義団体、米民主社会主義者に加入した根っからの社会主義者だ。
「資本主義より社会主義に好意的」。今のアメリカでは社会主義に親近感を持つミレニアル世代(1981~96年生まれ)が増えている。そんな彼らが支持するのが、アメリカで勃興する新・社会主義である民主社会主義だ。いったい民主社会主義とはどういった考えなのか。アメリカの社会主義思想を支える雑誌『ジャコビン』の編集長、バースカー・サンカーラ氏に聞いた。
※8月10-17日号第2特集 「ルポ・アメリカ 若者の反乱」の関連インタビューです。
――民主党の大統領候補者であるバーニー・サンダースや、最年少下院議員となったアレクサンドリア・オカシオコルテスなどが主張する民主社会主義とはどういった考えなのでしょうか。
一言で言うとリベラル左派を指す。民主党に代表されるリベラルの枠組みの中でも左に位置する。
具体的には資本家の所有権や支配権を疑問視し、労働者たちが自らの手で意思決定し管理できるような改革を促そうという考えだ。資本家が投資を決めてモノやサービスの生産を決めるのではなく、労働者が決める。労働者の権利を強める仕組みを整えようという考えだ。経営陣も労働者から選ばれるなど、より労働者にとって民主的な体制を構築する考えだ。
資本主義の下では資本家はいつもこう言う。「規制や課税があれば投資しない」と。そういった脅しを防ぐために、民主社会主義の下では資本家に集中した機能をより分散させ、より広く行きわたらせる。
――民主社会主義は資本主義を否定しているのでしょうか。
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