ビルの売買をめぐる地上げ屋とのつばぜり合いで見せた気迫とは?
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東京・渋谷区の道玄坂。古い商業ビルが立ち並ぶこの繁華街の一角で、大型ビルの建設が始まっている。
地上28階建て、高さ120メートル、延べ床面積4万平方メートル超を構想するこの大型ビルは、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下PPIH)が社運を懸けて開発するプロジェクト。店舗や事務所、ホテルなどが入居する。旧ドン・キホーテ渋谷店の跡地を中心とする敷地だ。
ドンキは小売り事業で稼ぎ、「不動産事業はあくまで付随する収益源」というスタンスを取ってはいるものの、同社の不動産ビジネスには並の不動産会社にはないすごみがある。
ドンキが旧渋谷店拡張のため、周辺の土地取得に動き始めたのは2010年ごろのこと。渋谷で再開発計画が目白押しであることをにらみ、有象無象の地上げ屋や不動産ブローカーらが、この時期には一斉にうごめき出していた。
関係者の間で懸案になっていたのが、1階に暴力団事務所が入居する5階建てビルだった。「このビルをものにすれば転売で大儲けができる」。そう考えた地上げ屋の一人であるS氏は、暴力団の親分と話をつけ、数千万円の現金と引き換えに暴力団事務所の整理に成功した。12年夏のことだ。暴力団への金銭授与は、コンプライアンス順守が求められる上場企業にできる芸当ではない。
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