これまで見てきたように、ドン・キホーテの売り場手法としては、「圧縮陳列」や「POP洪水」が有名だ。圧縮陳列は、商品を天井に届きそうなくらい高く、そして高密度に陳列する方法。POP洪水とは、手書きのPOP広告をあちこちに貼り付け、顧客の購買意欲を刺激するものだ。
あまり知られていないが、こういったドンキの独自手法に大きな影響を与えた小売店がある。首都圏を中心に160超の店舗を展開する食品スーパーマーケット、成城石井である。
成城石井は高級スーパーとして知られる。一見、ドンキとは正反対に見えるが、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の大原孝治社長はかつて、「成城石井の店舗に足しげく通い、店づくりの参考にしていた」(PPIH幹部)という。実際に成城石井の店舗に入り、つぶさに観察すると、確かにドンキの手法と似ているものが複数見受けられた。
その1つが、少量多品種の商品を天井近くまで高く並べる陳列方法だ。販売効率を追求する一般的な食品スーパーと違い、成城石井は高いゴンドラ(陳列用什器)を使って、たくさんの種類の商品で埋め尽くしている。
ナショナルブランドやPB(プライベートブランド)に加え、入荷数量が少ない希少な商品まで幅広くそろえる。成城店(東京都世田谷区)の場合、127坪の店舗の中に約1万ものアイテムを並べる。「選ぶ楽しみを持って顧客に来店してもらいたい」と、成城石井の早藤正史執行役員は語る。
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