米欧の中央銀行は10年前の世界金融危機に対応するため開始した金融緩和からの脱却、いわゆる金融政策の「正常化」に邁進している。
米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は2014年初めに量的緩和(国債などの買い入れ)の縮小に着手し、同年秋には完全に停止。15年冬に利上げを開始した。そして昨年秋からは、国債などの保有残高を削減するという、「正常化」の最終段階に入っている。
ここまで来るのに相当な時間を要したことは事実だ。その最大の理由は、深刻な金融危機の後遺症で潜在成長率が低下したうえに、景気が回復しても物価の上昇が鈍かったことである。2%のインフレ目標を掲げるFRBは利上げペースを上げられなかった。
現在の米国経済が年率3%を超えるペースで拡大し、インフレ率も目標を達成したことを考えれば、「正常化」を慎重に進めたことは成功だった。しかし、次の景気後退の際に利下げ余地が小さくなることも確かである。
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