強烈なリーダーシップでこの3年間金融庁を率いてきた森信親長官は、今年夏の定例人事異動で勇退する見込みだ。その後任長官に誰が就くのか、注目が集まっている。
長官職は金融行政方針の決定権を持つと同時に強い内部管理・人事権を握る。任期が長期化すると側近グループが生まれかねず、人事異動のバイアス、政策のバイアスがかかりやすい。それゆえ、霞が関では長官の任期はおおむね1年間という慣例が確立している。
にもかかわらず森長官が昨年の夏、異例ともいうべき3年目続投を決めた背景には、「森信親」でなければならない積極的な理由があったはずだ。後任長官の人事を読み解くために、まずは、「3年目続投の理由」から振り返りたい。
金融庁は昨年1月から、民間金融団体との意見交換会で「金融庁が提起した主要論点」を公表している。中でも森長官が出席し、自ら積極的に問題提起したときの主要論点を紹介したい。森流の考え方が典型的に表れているからだ。
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