昨秋、みずほフィナンシャルグループが発表した1.9万人の人員削減が世間の大きな関心を呼んでいる。どんな人事戦略を基に打ち出したのか。人事部門トップを直撃した。
──「1.9万人」の数字にはどんな考えがあるのでしょうか。
実はすでに2年前から抜本的な人事運営の改革を進めてきた。いろいろなことを幅広くやってきたが、一言で言うと、人事がこれまでやってきた不文律、旧習からの脱却だ。(グループの中の)銀行中心主義、日本人中心主義、厳格な年次主義を変えていく。みずほとして人材の面で競争優位性を確保したい、というのが究極的な狙いで、人員をスリム化するだけでなく、稼ぐ力を強化するために、質も同時に向上させていきたい。
──人員削減は10年をかけた長期計画で、その実行力を疑問視する市場の声もあります。
人員のコントロール手段は採用と退職の二つしかない。今回は単なる経費削減、リストラではなく、中長期的な流れの中で、この二つの蛇口をコントロールし、社員の雇用をきちんと守りながら、人材のポートフォリオを適正化していく。人員をスリム化し、質を向上させ、かつポートフォリオを適正化させる。この三つを同時並行で進めるのが今回の構造改革だ。
──背景にある人事戦略は?
経営レベルでは三つの人事戦略を考えている。一つが採用、二つ目が育成、三つ目が生涯活躍だ。特に採用に危機感を抱いている。
今、銀行の就職人気ランキングはそうとう落ちている。しかし、あまり極端な採用抑制をかけて(人材の)ポートフォリオを壊したくはない。去年までの大量採用期と比べると、2019年度の採用人数は銀行と信託銀行合計で700人と、かなり抑制(半減)する形になるが、質重視の採用に切り替える。デジタルリテラシーの高いSTEM(理工系知識に長けた)人材や外国人の採用を増やす。
あらためてみずほの人材の資質を分析すると、安定志向やチームワーク重視の特性が強かった。みずほらしいといえばみずほらしいが、今は変化の時代に立ち向かっていくとき。「みずほらしくない人に会いたい」という冊子を作るなど、これまでのみずほらしい人材から少し舵を切りたい。
銀行で育った人材を社会にもう一度還元
──大量採用世代が50代に到達する一方、出向先は減っています。
われわれは役職定年という言い方はしないが、平均53歳ぐらいで取引先への出向を斡旋している。社会全体を見渡すと人手不足だし、後継者がいなくて事業承継ができない会社も数多く存在する。そういう会社をサポートする人材を供給していく。メガバンクで30年近く育ってきた人材をもう一度社会に還元する大義はあるのではないか。そのために、スキルのリセットやマインドセット転換を進めたい。
──銀行員の目標は支店長になること、とされていました。
30年前は「支店長になりたい」とみんなが思っていたと思うし、銀行のビジネスモデルの主軸はそこにあった。しかし、これだけ資金利益が落ち、収益構造が信託や証券、アセットマネジメントなどへ広がっていく時代だ。人事のモデルも変わっていく。
(聞き手・本誌:山田徹也)






















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