落ち目のキリン、社長交代で立ち直れるか 時価総額、売上高、営業利益で首位から転落

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次期社長の磯崎氏は、「最優先に取り組むべき課題は二つ。第一に1日も早い国内ビールの事業の復活。ブランドを強化しお客様のご支持を取り戻すことが喫緊の課題。次に海外、特にブラジル事業の立て直しと新興国の開拓」と就任後に着手すべき課題を明らかにした。

「気づいたことは二つ。ひとりひとりが、競合に対して優位に立てるように、創意工夫を凝らすという力が弱まっていたこと。それに、商人の精神で泥くさくやり続けなければならないという強い意識が低下したのではないか、ということ。現場あるいは本社の自由闊達でチャレンジャブルな活動を制約、阻害するものをできるだけ取り払って、戦う集団としてのファイティングポーズをもう一度取り戻せるように社員の意識・構造改革に努めている」(磯崎氏)という。

来年は「一番搾り」など主力ブランドへの投資を進め、ビールのシェア低下に歯止めをかける狙い。ただ、今年に入り、外食大手との業務用ビールの取引を相次いでアサヒやサントリーに奪われており、その影響は来年も尾を引くものとみられる。また、ブラジルも資源価格の急落で経済状況は厳しさを増していることや、シェア6割を握る競合・アンベブの存在があり、反転は容易ではない。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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