大口受注先は固定化、中小は市場性に危機感
2017年度予算の防衛予算(防衛関係費)は約4.8兆円。そのうち、装備などの購入に充てられる一般物件費は1兆円弱。前年度以前の契約に基づき、17年度に支払われる「歳出化経費」の1.9兆円を含めたとしても、日本の防衛産業は約2.9兆円規模となる。
この市場でのプレーヤーはほぼ固定化されている。防衛省の調達先を金額順に見ると、上位10社には知名度が高く、日本を代表する企業がずらりと並ぶ(図表1)。また、トップ常連は川崎重工業と三菱重工業だ(上位企業の詳細については次記事)。
「防衛産業は食えない」、事業維持に苦しむ企業
防衛省と直接契約する企業は「主契約企業」と呼ばれるが、その下には数千社の企業が防衛産業に従事している。たとえば護衛艦1隻を建造するためにも、約2450社もの企業の協力が必要だ(図表2)。戦車や哨戒機の主契約企業は1社だが、1000~2000社超の企業が製造する部品や製品があってこそ、一つの装備品ができ上がる構造だ。
だが、防衛産業にはつねに先行き不透明感があった。産業の性質上、市場は限られ、国の予算次第で受注動向も変わる。また、競争もほかの産業と比べれば少ない。そうした市場ゆえに、防衛産業に存在する数千社の中には安定した利益を得る企業がある一方で、中長期的に安定的な事業運営ができるのかという不安を抱える企業も少なくはない。参入企業の業績にも濃淡があるということだ。
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