冠婚葬祭業に蔓延する「個人請負」の深い闇 「働き方改革」の逃げ道にしてはならない
無権利状態の個人請負の拡大は、「働き方改革」の落とし穴になりかねない。
[記事のポイント]
(1)冠婚葬祭互助会の最王手・ベルコの元従業員が起こした裁判で、「業務委託契約」を徹底活用した独特の雇用形態が波紋を呼んでいる
(2)業務委託契約を結ぶことで労働基準法は適用されず、解雇規制や最低賃金の対象外となる。その一方で「人事異動」が命じられていた
(3)こうした個人請負が国内で近年急増している。柔軟な働き方の美名の下、労働者保護の抜け穴として用いられないよう注意が必要だ
前もって受け取る掛け金を元手に、葬儀や結婚式などのサービスを提供する全国の「冠婚葬祭互助会」(互助会、図表1)。加入者数(口数)は約2400万、掛け金の総額は2兆4000億円に上り(図表2)、葬儀市場のシェア5割超を占めるとみられる巨大業界だ。
最大手は「玉姫殿」で知られ、大阪を本拠に全国展開するベルコ(齋藤斎社長)。社長が業界団体の会長を務める同社だが、その独特の雇用システムが表面化し、目下波紋を呼んでいる。
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