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遅すぎた50年越しの着工、誰のための外環道 しぼむ経済効果と膨らむ事業費で採算悪化

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1966年の立案から半世紀、一時は凍結された外環道の延伸計画が再び動きだした。膨らむ事業費を前に、国や東京都がうたう費用対効果は本当に得られるか。

(本誌:真城愛弓、筑紫祐二)

写真:世田谷の地下に搬入される国内最大のシールドマシンのドリル部分。4機で本線トンネルを掘る計画だ

[ポイント1]
1966年の立案から50年、一時は住民の反対運動で凍結された外環道の延伸工事がいま本格化している。大深度地下法の施行と掘削技術進歩が契機だ

[ポイント2]
東京都内ではいま大型開発目白押しだが、その中でも外環道の工事は金額的にも最大級だ

[ポイント3]
外環道が目指すのは交通渋滞緩和による経済波及効果だが、懸念は当初計画から際限なく膨らむ事業費。足元の1.6兆円からさらに上乗せの可能性もある

 

東京都世田谷区、東急田園都市線の二子玉川駅から車で約15分の住宅街の一角。東名高速道と交差する周辺エリアが防音パネルで囲われ、敷地の中には縦穴を囲む形で超大型クレーンが立ち並ぶ。深さ70メートルの地下空間に降り立つと、巨大な筒状の機械が横たわる。

これは直径約16メートル、国内工事で使われるものとしては過去最大の、トンネルを掘るシールドマシン(トップ写真)だ。このマシンが掘るのは東京外かく環状道路(外環道)の延伸部分。ここ世田谷区の東名(仮称)ジャンクション(JCT)と練馬区の大泉JCTからそれぞれ2機のマシンが発進し、片側3車線の地下トンネル2本を掘り進む。東名JCTからは3月末までに発進する見通しだ。この区間の計画ができたのは1966年。一時は“幻”と化したプロジェクトが、約50年の月日を経ていよいよ本格的に始動する。

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