NTT社長「光コラボで面白いものが出てくる」 稼ぎ頭のドコモが変調、どうするNTT(下)

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鵜浦社長は地方創生の取り組みに注目している

これまではユーザー接点を増やし、売上を伸ばすM&Aをやってきたが、これからは利益改善のためのM&Aも必要だ。たとえば、NTTコムが買収した米バーテラ社は、ネットワークにおける先進的な企業だ。NTTの研究開発部門も協力すれば、ネットワークの効率化をさらに進めることができる。 いずれの会社も利益率を上げて、グループとして利益を挙げていくことが私にとっては大事だ。

――12年6月の社長就任以降、海外企業の買収を進め、ドコモにiPhoneを導入し、NTT東西はサービス卸を開始する。次の課題は何か?

 海外は現在の取り組みを強化すればいいが、国内について、次は何かと考えたとき、ビジネスチャンスがあると思っているのは「地方創生」の取り組みだろう。

発想を変えるチャンス

今後、地方は新しいイノベーションを生み出さなければならない。地域間連携は、中央や地方でブロックを形成しようという考え方。大都市圏と地方の連携、地方と海外の連携も大切だ。産業間連携は、色々な産業の融合によって、新しいサービスや価値を生むことだ。何かがひとつ地方に分散すればいいわけではなく、観光に何かをプラスするとか。そうでなければ、新しい雇用にはつながらない。NTTのICT(情報通信技術)はこうした連携に寄与できるツールだ。

 従来の競争のように、通信事業者がいつまでも主語なのは違和感がある。地域創生において、われわれは多くの連携を促進する存在になれるので、発想を変えるチャンスだ。地域の強みを生かしながら、何を補強すればいいか。グランドデザインを地方と一緒に考えていくことが重要だろう。15年春に新たな中期計画を発表する予定だが、グループとして地方創生にどうかかわっていくのかということは、戦略の柱のひとつにしようと考えている。

(撮影:今祥雄)

「週刊東洋経済」2014年12月13日号<8日発売>の「核心リポート02」に掲載したインタビューに加筆)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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