フィリピンでドゥテルテ政権が発足してから半年が経った。歯に衣着せぬ発言と、それまでの外交方針の転換で、何かと注目の大統領だが、その実体は国益優先の現実主義者である。
外交では、一時的にせよ「軍事的にも経済的にもアメリカと決別する」と口にするなど嫌米姿勢を示し、同盟国アメリカと距離を置こうとする一方で、中国とは南シナ海領有権問題を「棚上げ」して関係改善に努め、10月の中国訪問時には多額の経済支援を引き出した。外交理念よりも経済的利益を優先し、アメリカ追随型ではない自主外交を展開しようとしている。
内政では、違法薬物犯罪取り締まりに力を入れている。ただし、同犯罪には地方政治家や警察官なども多数関与しているようで、取り組むほど問題の深刻さが明らかになっている。強硬手段も辞さない構えを示してきたドゥテルテ大統領の下、2016年6月30日の政権発足後に約6000人の容疑者が殺害された。このうち警察の捜査過程で殺害されたのは2000人ほどで、残りは強硬な取り締まりに誘発された自警団などによる殺人事件のようだ。
こうした事態を憂慮するアメリカ、欧州連合(EU)、国際連合、それにフィリピン国内の人権委員会などは、ドゥテルテ政権を強く非難している。だが大統領は「内政干渉だ」「自分は超法規的殺人を認めた覚えはない」と強く反発、あくまで犯罪撲滅に全力を尽くす姿勢だ。
このように、中国との関係改善や違法薬物犯罪取り締まりは、その進め方に賛否あるかもしれないが、その目指すところについてはとりあえず異論がない。現に、国民の大統領支持率は8割近くある。
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