日銀の「資産購入等の基金」は、J-REITの資本調達を活性化させるか?《ムーディーズの業界分析》
海外に目を移せば、米国REITでは09年から10年にかけて、およそ400億ドルの資本調達が行われており、発行体の保守的な資本構造の維持に貢献している。実際、ムーディーズの格付けを付与している米国REITでは、07年から10年においてレバレッジはおおむね安定的に推移している。対照的に、ムーディーズの格付けを付与しているJ-REITにおいては、07年から09年にかけて調整後有利子負債/EBITDAで見たレバレッジが、平均で7倍から9倍に上昇した後に横ばい傾向にある。J-REITにおいては、投資口価格が低迷する状況でダイリューション(希薄化)に対する抵抗が強いことに加えて、銀行取引が安定していることで、市場流動性を手厚くすることや負債削減の必要に迫られる度合いが緩和されたことが影響しているのだろう。
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