著書で情報収集の実践スキルを披露する池上彰氏が、米大統領選挙の取材で感じた報道の可能性と限界。
ドナルド・トランプ氏の米大統領選挙での当選は、大方のメディアの世論調査結果に反した「まさか」の結果だった。切れ味鋭い選挙報道で有名な池上彰氏も、予想を外した一人だ。

いけがみ・あきら / 1950年生まれ。ジャーナリスト。東京工業大学特命教授。NHKを経て2005年よりフリーランス。
──あらためて大統領選を振り返って感じることは。
トランプ氏の破壊力に期待する人がいるとは思っていたけど、これほど多かったとは。この部分については、今たいへん反省しています。
英国の欧州連合(EU)離脱のときも同様でした。ロンドンの大手メディアはEU離脱などありえないと思っており、若い人の多くも残留を願っていた。しかし高齢者の多くが離脱を支持しました。私は残留派の女性議員が銃撃されて死亡した時点で、同情票が集まるだろうから残留で決まりと思っていましたが、読み違えました。
総得票数を見れば、ヒラリー・クリントン氏はトランプ氏より200万票も多く獲得しており、全米の世論調査は間違ってはいなかった。ただし選挙人が選ぶという仕組みでクリントン氏は勝てなかった。ここでメディアは読みを外しました。
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