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佐藤優が地政学の観点からユーラシアを考える 書評:ヒラリーに譲ったサンダースの自伝ほか

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現代の地政学 (犀の教室)
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さとう・まさる●作家、元外務省主任分析官。1960年生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在英国大使館、在ロシア大使館、国際情報局分析第一課主任分析官などを経る。背任と偽計業務妨害の容疑で、外務省を失職。2013年、執行猶予期間を満了。

地政学の観点から ユーラシアを考える

評者 東京外国語大学大学院教授 渡邊啓貴

地政学はわが国では学問的領域として位置づけしにくい分野である。戦前ヒトラーの膨張政策の正当化に利用されたハウスホーファーに代表される地政学は、わが国では大陸アジアへの侵略の正当化の議論となり、戦後「悪の論理」と呼ばれ、タブー視されたからだ。

評者は地政学を「勢力圏」の議論と考えている。冷戦が終結し、さらに米国一国支配とも思われた世界秩序が緩み、他方で中国、ロシア、欧州連合などがその利害関係を錯綜させる地域が拡大してきた。地域パワーの影響力がクローズアップされてきたことが「地政学ブーム」の背景にあると評者は考える。

ロシアを専門とする著者は長い間地政学の観点からユーラシアを考えてきた。本書は一般市民講座の記録を基にし、平易なわかりやすい文体で地政学について紹介している。しばしば地政学は「陸の地政学」と「海の地政学」の二分法で説明される。本書はそれぞれの代表であるマッキンダーとマハンという二人の地政学・戦略家のテキストをたたき台に基本的概念や発想について簡明に説明する。

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