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『パナマ文書』がついに書籍化、440ページ 書評:江戸の旅人のパスポートだった往来手形

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パナマ文書
パナマ文書(KADOKAWA/角川書店/456ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
Bastian Obermayer●南ドイツ新聞「調査報道」班副チーフ、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)メンバー。1977年生まれ。独ミュンヘンの大学で政治学を修める。
Frederik Obermaier●南ドイツ新聞「調査報道」班の編集者、ICIJのメンバー。1984年生まれ。独アイヒシュテットとコロンビアのボゴダの大学で政治学などを修める。

白日の下にさらされた タックスヘイブンの闇

評者 東洋英和女学院大学客員教授 中岡 望

情報はリークによってもたらされる。情報提供をした人物の意図は別にして、リーク以外に重要な情報を入手する手段はない。評者も内部関係者のリーク情報で記事を書いた経験がある。世界を揺るがし、大きなスキャンダルに発展した情報は例外なくリークによってもたらされたものである。

オフショアを使った脱税や財産隠匿に関する事件では、2013年に「オフショア・リーク」があり、15年に英大手銀行HSBCが関与した不正事件を暴露した「スイス・リーク」がある。また、政治的スキャンダルに発展したリークとしては「ウィキリークス」はまだ記憶に新しい。

そして今回、パナマの法律事務所の内部資料をリークした「パナマ文書」と呼ばれるオフショアを使った脱税、財産隠匿を巡るスキャンダルが明らかになった。その文書の中に多くの著名人の名前が登場してきたことで世界の注目を引いた。

情報は匿名の人物から南ドイツ新聞の記者にもたらされた。パナマのモサック=フォンセカ法律事務所の内部資料である。だが、情報の量は膨大で、対象国が多岐にわたり、一新聞社の記者である著者の対処能力を超えていた。彼らは「オフショア・リーク」で中心的な役割を果たした国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に協力を求めた。同連合を通して情報は世界中のジャーナリストに共有され、リーク情報に基づいて共同調査が始まった。プロジェクトは「プロメテウス」と名付けられ、「最終的には80ヵ国以上から集結した約400人のジャーナリスト」が調査に携わる大プロジェクトとなった。

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