東証マザーズに外国株として上場する創薬ベンチャー、アキュセラが演じたジェットコースター相場はこの先何年も語り草になるだろう。折からのバイオ株ブームに乗り、同社株が上場来高値の7700円をつけたのは5月25日のこと。いまだ世の中に新薬を送り出したことのない赤字ベンチャーの時価総額はその瞬間、2900億円近くにまで膨張した。
過熱感の象徴となったアキュセラ株の暴落
ところが翌日、同社は重大な発表を行う。大看板の新薬候補「エミクススタト塩酸塩」の有効性が治験で認められなかったとの内容だ。市場には売り注文が殺到し連日のストップ安、ぱんぱんに膨れ上がった時価総額はほぼ10分の1にしぼんだ。
驚くべきことにこの鉄火場で猛然と買い向かう投資家がいた。北尾吉孝氏率いるSBIホールディングスである。日本人医師の窪田良氏が米国で起業したアキュセラにSBIが投資したのは2008年。上場後も大半の株を持ち続け、株価急落直前には傘下のファンド分も含めると約21%を保有していた。15年にアキュセラで内紛が起きた際、SBIは窪田氏側に立ち、外部招聘した外国人役員の追放にも一役買っている。
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