東京大学名誉教授 黒木登志夫氏に聞く 『研究不正』を書いた

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輝かしいノーベル賞受賞の一方で、科学者たちは時として「研究不正という暗い影を生み落としている」という。

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撤回論文数ランキング ワースト1位は日本人

──日本人が研究不正で「世界トップ」なのですか。

2014年まで11年間の撤回論文数のワーストワンは日本人、ワースト10に2人、30位内に5人も名を連ねている。撤回数を国別に見ると、いちばん多いのから順にインド、イラン、韓国、それから中国、日本、米国と続く。日本は捏造が多く、ほかの国は盗用が多い。また3分の1は間違いが理由。それも不名誉なことには違いない。

研究不正は00年まで日本では目立つものはなかった。00年に麻酔科医が摘発されて以降、次から次へと出てきている。撤回論文を俎上に載せたブログ「リトラクションウオッチ」によると、この麻酔科医の撤回した論文は20年間分で183を数え、世界一。ものすごい「才能」だ。何しろ英文で論文を仕上げ、一流ジャーナルの審査にパスする。しかも掲載されるにはその時々に何が問題テーマか理解していなければならない。実は世界にはそれができる人物はいっぱいいる。

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