青山学院大学教育人間科学部教授 鈴木宏昭氏に聞く 『教養としての認知科学』を書いた

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 心(知的システム)は見えない。それを情報という共通言語で見えるようにする。「ビジネスに生かせる知性」の姿を認知科学が描き出す。

ひらめきは準備ができた人にのみ訪れる

教養としての認知科学
教養としての認知科学(東京大学出版会/296ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──認知科学はイノベーションに大いにかかわるのですね。

イノベーションを起こせ。産業界で至上命令のごとくいわれる。だがイノベーションは、創造やひらめきと同様に、突然生み出せるものではない。

ひらめきを伴う問題解決について研究を続けてきて、現実は「正解」と全然できない状態とをうねりながら行ったり来たりする、つまり試行錯誤があったうえだとわかった。ダメだったものが急にうまくいく、あるいはマネジャーや、それこそ社長を代えればうまくいくというのはまさに夢であって、現実は違う。この「揺らぎ」を体験している人はその間に進歩しているのを実感できない。揺らぎつつ進化するものなのだ。だから、現場の苦労まったくなしでマネジメント技術だけでイノベーションを起こそうとしてもできない。失敗や苦労、部分的な成功を共有し、積み重ねていくことをしないと絶対にひらめきは訪れない。

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