結婚したらパートで小遣い稼ぎ───そんな道が消えつつある。
大阪にあるデパートの地下売り場で名産品を売る主婦パートの笹本由美子さん(仮名、勤続10年、52歳)。商品はどれも高価格で本来なら来店客は買うのを躊躇する値段だが、笹本さんが店頭にいると売れに売れる。強引に売り込まない巧みな話術で、通りがかった一見客がついつい手を伸ばしていく。固定客も多い。
売り場はそんな笹本さんに頼りきりだ。笹本さんは自身が活躍するばかりでなく他のパートの育成役でもあり、営業力抜群の精鋭パート部隊を生み出した。その結果、売り場は7年前から正社員ゼロ、パートだけで回っている。「すっかりベテランさんになってしもうて」。笹本さんは照れ笑いする。
にもかかわらず彼女の時給は1000円に満たず、ボーナスも支給されない。夫の扶養に入っているため、企業側は笹本さんの社会保険料も負担していない。笹本さんの人件費はざっと見積もって正社員の半分以下だろう。働きぶりに見合わない低賃金に水を向けると、笹本さんは「パートって誰でもそんなんとちゃう?」と事もなげに言った。
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