国際貿易投資研究所理事長 畠山 襄氏に聞く 『経済統合の新世紀』を書いた

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日本の自由貿易を推し進めてきた著者は、中国の環太平洋経済連携協定(TPP)入りは“確定的”になったという。

経済統合の新世紀―元通商交渉トップの回想と提言
経済統合の新世紀―元通商交渉トップの回想と提言(東洋経済新報社/352ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──TPPの内容には大いに不満なご様子ですね。

まったくがっかりだ。もともとTPPはシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国の経済連携協定(P4)として始まった。いわばこの清純な乙女の園に日本と米国がTPPという名で入り込み、貿易の自由化とはこんなものとしてしまった。

本来なら、これを機会に純粋な乙女の力をばねにして日本は農業改革をやるべきだった。ところが、政府の発表文の冒頭に、農産物5項目が国家貿易品目であるとある。恥ずかしげもなく。この自由化の世の中に、「コメ、国家貿易品目である。麦、国家貿易品目である。牛・豚肉、国家貿易品目である」などと書いてあるのと同じだ。

同じゴールを目指す 日本、米国、そして中国

──中国は入りやすくなった?

中国にとってTPP入りは「高嶺の花」だった。包括的経済連携構想(RCEP。アールセップ)といったもので代替しようかと、迷っていたところへ今回の形のTPPが自ら飛び込んできた。中国もまんざらでない。米国は安全保障第一の国だからセンシティブな問題となるが、貿易は第2の問題の位置づけであって、今まで豹変は常套手段でもある。オープンなのはいいことだとか言って、中国を歓迎することになるのだろう。

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