川内(せんだい)原発に続いて伊方原発も再稼働が決まったようだ。安保関連法は成立し、安倍晋三政権の支持率も漸次回復してきた。
3・11以来、脱原発、安保法案反対を訴えて、10万人以上(当事者側発表)が首相官邸や国会へデモし、多くの学者や文化人が朝日新聞ほかでそれを応援した。彼ら世にリベラルといわれてきた人々は、それでも原発も安保法も止められなかった。
私は、彼らが訴え説くところを追いながらずっと、これは勝てないなと考えてきた。なぜか。
リベラル、カネと力はなかりけり!?
たとえば安保法案反対を訴えるとき、彼らは「正しさ」を掲げる。安倍政治は立憲主義違反だから許せぬ……などと。「立憲主義」という「正しさ」を共有できる人ならば、それで賛同してもらえよう。しかし「正しさ」の基準はいろいろだ。ましてや敵は、「法的安定性は関係ない」などと本音を漏らす補佐官もいる安倍政権だ。おまえは間違っているといくら叫んだとて屁とも感じまい。
「正しさ」を共有しない相手にいうこと聞かせるには、アメしゃぶらせるかムチで脅すかするほかない。デモで押しかけるというのもなるほど「示威」行動、すなわち「威(おど)し」ではある。しかしどれほどの「威し」となっただろうか? 朝日新聞ほかリベラルなメディアは、脱原発や反安保法を叫ぶデモが、おしゃれで楽しく、党派性も政治色も希薄、かつ徹底して非暴力ゆえ、普通の市民や若者も個人で参加しやすいと繰り返し賛美してきた。
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