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中国の窮地と日本の限界 南シナ海対立が示す

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米国は中国の南シナ海支配を絶対に許さず、中国は水面下で妥協するしかない。仮に軍事衝突に至れば、中国だけではなく日本も窮地に立たされる。

米太平洋軍のハリス司令官は11月3日、范長龍・党中央軍事委員会副主席と会い米国の立場を説明(ロイター/アフロ)

米海軍駆逐艦が10月下旬に中国の人工島から12カイリの海域を航行して以来、南シナ海における米中間の緊張が高まっている。

「航行の自由」は米国の安全保障にとって死活的に重要だ。中国が、南シナ海のほぼ全域に主権を及ぼす状況を許せば、米海軍は、自由に中国に接近できなくなるだけでなく、日本に母港を置く第7艦隊を中東などへ派遣する際に、南シナ海という障害が立ちはだかることになる。

さらに中国の戦略ミサイル原潜が自由に太平洋に出入りするのを許すことになり、中国が米国本土を自由に核攻撃できる状況を作り出す。

これらは、米国にとって許容しがたい。しかし裏を返せば、米国の南シナ海における「航行の自由」は中国にとって、「米海軍が自由に中国本土に接近し、中国に不利な地域情勢創出のために中東などにアクセスし、中国の対米核抑止を無効化する」ということなのである。

同じ事象について裏表の主張をしているのだから、双方とも譲歩できない。しかし、より難しい立場に置かれているのは中国だ。米国の作戦に対して抑制的な態度を取っても、強硬な態度を取っても、中国共産党の統治が危機に陥る可能性がある。

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