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緊縮政策ではギリシャ危機は終息しない EUの戦略ミス

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6月29日、制限が設けられた銀行の預金引き出しに大勢の人が押し寄せた(Milos Bicanski/Getty Images)

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欧州債務問題は、2009年10月に発覚したギリシャの財政統計の改ざんに端を発する。それ以降、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)に対して金融支援を要請した国は5カ国(ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、キプロス)を数える。

アイルランドは13年12月に、スペインは14年1月に、ポルトガルは同年5月に、それぞれ金融支援を卒業した。キプロスも当初予定どおり16年中には金融支援を終える見込みだ。

ギリシャだけがなぜ卒業できないのか

こうした中、ギリシャだけが取り残されており、経済危機を終息させることができないでいるのは、いったいなぜだろうか。その理由は、経済危機の根幹にある累積債務危機が終息していないこと、言い換えれば、資金提供に応じる代わりに緊縮財政と構造改革の同時遂行を義務づけるというEUの支援戦略が、ギリシャの債務危機に対して効果的に機能しなかったことにある。

債務危機の性質は、一般的に「流動性問題」と「支払い能力問題」に大別できる。

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